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FRBは主要金利をゼロ付近に維持するが、景気見通しは明るい

現地時間の2021/06/16にFRBのFOMC後の記者会見が行われました。大方の予想通りのサプライズのない記者会見だという結果に終わりましたが、市場関係者としてはヤキモキする内容にもなったようです。一方でパウエル議長も慎重に言葉を選びながら会見を行った、という評価の声も見受けられます。

海外ニュースメディアではどのように伝えられているでしょうか。USA Todayの記事をななめ読みしてみましょう。

Fed keeps key rate near zero but moves up forecasts for initial rate hikes to 2023 amid upbeat outlook, stronger inflation 

https://www.usatoday.com/story/money/2021/06/16/federal-reserve-fed-now-foresees-first-rate-hikes-2023/7714722002/

2021/06/16、FRBは2日間のFOMC=連邦市場委員会を開催しました。会合後の記者会見で、引き続きゼロ金利政策の維持を明言しつつも、2023年ごろの利上げ回数を1回から2回に見据えていると説明しました。
ただし経済が完全雇用に戻り、インフレ率が目標の2%をしばらくの間上回るまで維持する考えです。4月のコア・インフレ指標はFRBの目標である2%を大きく上回っていましたが、これは経済の回復と無数の製品不足による一過性なものだと解釈しています。
それに対立するシグナルも確認されていて、新型コロナの感染者数は激減し、ワクチン接種も進んでいます。また国民の貯金の合計額は2.5兆ドルにも登っており、中央銀行はこれを解消したい考えです。
FRBが最優優先課題とする労働市場まで「まだ十分に来ていない」「道のりは遠い」という市場の見方もありました。しかし、FRBは現在行っている刺激策の撤回に向けて小さな一歩を踏み出しています。

Pick up Words/Idioms

  • ease back from : 〜からの脱却(緩和する)
  • labor market : 労働市場
  • tapering : 先細り、テーパリング
  • a ways from our goal : ゴールまでの道のり(方法)
  • turn out to be : (結果と)なる、判明する
  • yet/still : しかし

ease back from : 〜からの脱却(緩和する)

楽にする、緩和する・・・という意味で今回の用途には「脱却する」という表現が適切かと思いました。ease back from a deflation = デフレ脱却。。。脱却もナニも、むしろコロナ禍でデフレが進行している唯一の先進国、それが日本です。

labor market : 労働市場

労働力を商品とした市場・・・製造・販売・サービス業などのことを指します。ITやコンテンツ業というのはコロナ禍において需要が高まっているものの、製造業や飲食・販売業、サービス業といった職種はパンデミック状態において回復が難しく、パウエル議長は新型コロナを克服した事を示す最重要課題としています。

tapering : 先細り、テーパリング

ここ最近よく見かけるテーパリングという言葉・・・先に行くほど細くなっている様子を指しており、カイジの鉄骨渡りもテーパリングしているのですが、金融や経済の言葉では量的緩和を徐々に減らしていく事を意味しています。

a ways from our goal : ゴールまでの道のり(方法)

ways…と複数形に見えますが、ここでは「しばらくの距離」=道のりという意味でa waysになっています。またways toではなくways from…日本語で考えるとgoalに向かっている(to)道のりとしたいところですが、waysは距離を意味をしていますのでfromです。

yet/still : しかし

逆説的な文章を入れるためにbutのほか様々な表現がありますが、今回の記事の中で、YetとStillそれぞれが使用されていました。Yetは「まだ」という意味もありますが、Butよりもより強い逆説的な表現の時に使用されます。Stillはその前の文脈に対し、想定と異なる場合に使用されるものです。「量的緩和にはまだ遠いと言われていました。しかし(Still)FRBは一歩踏み出しています。」といった具合です。

おわりに

経済・金融の記事は特に固い表現も多く難しい単語が並ぶばかりで、今回の記事も数字が並びととても読み解くのに疲れてしまいますね。もう少し同様の金融系の記事を読み解いて、数字の見方を訓練するのもいいでしょう。
今回の会見を経て、米国10年債は大きくジャンプアップしましたが、まだまだ先々の不透明感に不安を隠せない様子・・・今月いっぱいは様子見が続くかもしれません。しかし金利引き上げに関する明確な言及をしつつも、市場に対するインパクトを最大限抑える形での会見になったようにも見受けられます。そういった意味では確かに適切な会見だったのかもしれません。

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