RSU(譲渡制限付き株式ユニット)を売却する際、日本の銀行口座への送金(Wired Transfer)を指定しますが、このとき指定する銀行口座を準備しておく必要があります。特に銀行によって受取時にコストがかかるケースがあったり、受け取った後のドル→円の為替手数料がかかったり、数千円単位のコストが想定外にかかるケースがありますので注意が必要です。
RSUで資産形成を行う全般的な流れについて、以下の記事もご用意していますし今後も継続して準備を進めますので、併せてご確認ください。
今後もRSUに絡んだ特集記事として追加する予定です。
手数料がお得な銀行口座は
なるべくトータルでの手数料が少ないところがいいですよね。結論からいうと、RSUを売って再投資を行うなら「住信SBIネット銀行」を、生活費や税金の支払いに充てるのであれば「新生銀行」あるいは「ソニー銀行」が有利です。
海外証券口座でRSUを売却する際、売却収入の受け取り方を指定しますが、日本人の多くが米国の銀行口座を持つことは難しいと思いますので、日本の銀行口座への送金(Wire Transfer)を指定することになります。Wire Transferは金融機関同士が直接資金を移動してくれる送金サービスを意味しますが、その際「送金を行う証券会社」と「受取を行う銀行」とそれぞれに手数料がかかります。「送金を行う証券会社」の手続きについてはまた別の記事でご紹介しますが、手数料は証券会社で決まってしまい選択の余地はありません。
「受取を行う銀行」の手数料は銀行によって大きく違いがあります。比較的安いとされるのが住信SBIネット銀行、新生銀行、ソニー銀行などになります。メガバンクや他のネットバンクと比較すると以下の通りです。参考までに1万ドルを海外証券会社から受取り、その銀行口座で円建て口座に移した場合のコストも記述しておきます。
海外送金受取手数料($->$) | 為替手数料(1ドルあたり) | 1万ドルを受取り日本円に変えた場合のコスト | |
住信SBIネット銀行 | 2,500円(5万ドル以上だと無料) | 4銭 | 2,900円 |
新生銀行 | 実質0円(18ドル支払い、2000円キャッシュバック) | 7〜15銭 | 700〜1,500円 |
ソニー銀行 | 0円 | 4〜15銭 | 400〜1,500円 |
楽天銀行 | 2,000円 | 25銭 | 4,500円 |
三菱UFJ銀行 | 2,500円〜(1,500円+送金金額の0.05%(最低2,500円)) | 25銭 | 5,000円 |
みずほ銀行 | 2,500円 | 2円 | 25,000円 |
三井住友銀行 | 2,500円〜(1,500円+送金金額の0.05%(最低2,500円)) | 0.5円 | 7,500円 |
受取手数料は新生銀行・ソニー銀行が有利です。もし5万ドル以上の一括送金の場合は住信SBIネット銀行という選択もありです。
為替手数料は住信SBIネット銀行が有利で、次いでソニー銀行、新生銀行と並びますが、ソニー銀行・新生銀行ともに口座残高などによるランク付けがあり、最優遇での為替手数料をとるためためには相当なトレードオフが必要になります。ともあれここで出した7行であれば住信SBIネット銀行・ソニー銀行・新生銀行のいずれかに選択は絞られます。
では受取手数料+為替手数料の組み合わせで考えた場合はどうでしょう。仮に一般的にも取得しやすいランク...ソニー銀行の場合はシルバー(残高300万円以上 or 住宅ローン借入)、新生銀行の場合はゴールド(残高100万以上)の場合のコストを、送金金額を増やしながらに比較してみましょう。
1万ドル | 2万ドル | 3万ドル | 4万ドル | |
住信SBIネット銀行:4銭 | 2,900円 (Δ2,000円) | 3,300円 (Δ1,500円) | 3,700円 (Δ1,000円) | 4,100円 (Δ500円) |
新生銀行(ゴールド):9銭 | 900円 | 1,800円 | 2,700円 | 3,600円 |
ソニー銀行(シルバー):10銭 | 1,000円 (Δ100円) | 2,000円 (Δ200円) | 3,000円 (Δ300円) | 4,000円 (Δ400円) |
このように金額が小さいうちは新生銀行やソニー銀行が有利ですが大きくなってくると3行であまり違いがなくなってきます。さらに5万ドル以上の場合住信SBIネット銀行は受取手数料が無料になるので、大きく有利になります。
ドル建てのまま再投資を行う場合
RSUを売却した資金で税金などの支払いが済んだら、改めて残った資金を再投資に回します。このときドル→日本円に変えた上で日本株に投資する方法も悪くはありませんが。残念ながら日本株の難易度は年々増すばかりです。正直なところ日本株はもう頭打ちになっていると筆者は考えています。継続的な成長を望むのであれば海外、特に米国の株を中心に再投資を行うほうが健全です。
日本にいても米国株を購入することができます。一般的にはSBI証券・楽天証券・マネックス証券のいずれかを使うことになるでしょう。ここで米国株や米国EFTを購入する場合ドル建てで購入することになりますので、RSUを売却した際にはドルのまま残しておいて再投資の当てることで為替手数料を回避することができます。
そして住信SBIネット銀行・ソニー銀行・新生銀行のうち、スムーズに米国株・米国ETFへ再投資できるのは【住信SBIネット銀行→SBI証券】になります。他の銀行口座、他の証券口座の組み合わせでは、必ずドル→円の両替が必要で、更に米国株や米国EFTを購入する前には円→ドルへの両替が必要です。特に後者の円→ドルを証券口座で行うと思いのほか為替手数料が高くつきます。
(結論)金額ではなく利用用途で使い分ける
もし米国株・米国ETFに再投資を行うのであれば住信SBIネット銀行での受取が無難です。もし税金の支払いなど日本円での地迂回道が決まっている資金であれば、金額や優遇プログラムに応じて住信SBIネット銀行なのか、あるいは新生銀行・ソニー銀行を選ぶのばよいでしょう。
筆者は税金の支払いについては概ね目処がついているので、有無を言わさず住信SBIネット銀行での受取を指定しています。次回は売却手続きについて紹介します。
フォロー・投票をお願いします
にほんブログ村
海外ランキング