(特集)RSUの手引き

[外資系社員]きました、確定申告!RSUの確定申告に向けたポイント

RSUの確定申告についていくつかポイントをご紹介したいと思います。

確定申告は毎年の税制改革で手続きが変更になりますので、具体的な確定申告書の作り方やe-taxの手続きについてここでは紹介していません。 RSUにおける確定申告の考え方をイメージできるようになることを目的に記事にまとめています。

そもそもRSUって?という方はこちらの記事をまずはご覧ください。

RSUにおける確定申告とは

採用時のオファーレターでRSUに関する取り決めが記述されている場合、通常のサラリーやボーナスとは別にRSUが付与されます。このRSUは海外の証券口座に振り込まれ、時期が来たら譲渡制限解除(Vest)されることで晴れてご自身のものとなりますが、源泉徴収がされていないお給料という扱いになりますので、「お給料を株でもらいました、申告納税します」と自己申告しなければなりません。その手続きが確定申告になります。

またRSUを売却(譲渡)した際に利益が出たのであれば、譲渡益に対する申告納税が必要になります。これも確定申告が必要になります。お給料としてRSUをいただいただけでも50万円・100万円といった所得税を一括で払わされることになりますので、Vestされたら売却のタイミングも常に検討する必要があります。売却方法は別記事にまとめていますのでぜひ併せてご覧ください。

入社後いつ確定申告が必要なのか?

ずばり、入社してから次の次の年には必ず確定申告が必要になります。2021年に入社した方は2023年の2月〜3月に、2022年に入社した方は2024年の2月〜3月に確定申告する必要になります。

これは入社してから1年後にRSUがVestされることを想定した場合です。2021年10月に入社した方は2022年10月に初めてRSUがVestされるので、2022年に頂いたお給料としてRSUを確定申告することになります。

RSUの税額は

RSUはお給料という側面と、株式という側面があり、それぞれで所得税の考え方が異なります。特に株式という側面では、RSUの売却は米国の証券会社を使うものの、税制は日本の手続きに従わなければならず非常に間違えやすい仕組みになっているので、長文になりますがお付き合いください。

お給料の側面・・・給与所得

Vestされたものがお給料として申告が必要ですが、当然日本円で申告が必要となります。

  1. Vestされたその日の株価(ドル)x株数=RSUの価値(ドル)
  2. RSUの価値(ドル)x為替(円/ドル)=申告(円)

為替(円/ドル)はTTM(公表仲値)を確認する必要があります。TTMは「TTSとTTB」の中間になります。例えば2022/01/18のTTMを求める場合

  1. 下記URLにアクセス
    http://www.murc-kawasesouba.jp/fx/past/index.php?id=220118
  2. US DollarのTTSとTTBを確認(TTS=115.56、TTB=113.56)
  3. TTM=114.56(115.56と113.56の中間)

という手順になります。URLの末尾を日付に合わせれば、確認したい日のTTSとTTBを確認できます。

仮にこの日1株100ドル、200株Vestされた場合

  • 100 x 200 x 114.56 = 2,291,200円

が源泉徴収されていない所得として申告することになります。丸々税金で持っていかれるわけではないのでご安心ください。しかしご年収次第ではこの1/3以上を申告納税することになるので、減税のためのアクションを考えたくなりますよね。

株式の側面・・・譲渡所得

RSUがVestされたはいいものの、売却しなければ現金として手元に入ってきません。売却方法については別のブログでまとめていますのでそちらも見てください。

株の売却により利益が出た場合、その利益に対して課税されます。利益の計算は単純に言えば原価(Vestされたタイミングでの株の価値)よりどれくらい高く売れたかということになりますが、この原価の計算が以外と面倒なのです。RSUはVestが開始されると年に複数回くりかえりVestされることになりますが、そのたびに持っているRSUの原価を"円"でかつ"累積"して計算し続ける必要があります。

 

 株価Vest株数為替Vestされた株の価値(円) 累積の株数、原価(円)1株あたりの原価(円)
①1月$100.00200115円/ドル2,300,000円 200株、2,300,000円11,500円
②4月$90.0040115円/ドル414,000円 240株、2,714,000円11,308円
③7月$110.0040115円/ドル506,000円 280株、3,220,000円11,500円
④10月$120.0040120円/ドル576,000円 320株、3,796,000円11,862.5円

株の売却(譲渡)により利益が出た場合、その利益に対して課税されますが、給与所得とは合算せずに分けて課税(現在20.315%)されることになります。自分が働いて得たお給料よりお金を働かせて得た利益の方が税率が安いのです。

さて、仮に④10月のVestのタイミングで半分の160株を売却(譲渡)した場合

  • 累積の原価が 1株あたりの原価 11,862.5円 x 160株=1,898,000円
  • 譲渡金額が 株価120ドル x 160株 x 為替120円 = 2,304,000円

となり、406,000円の譲渡益が出たことで確定申告が必要になります。このときの申告納税は82,478円と想定されます。

もし①〜④の期間中に売却した場合、売却した分を差し引いて累計して原価を再評価いくことになります。悲しいことにこれを自力で計算しなければなりません。米国の証券会社から提示される取引履歴などでは、米国税制に則って累積せずに記録されているためです。確定申告まで後回しせず、Vest・売却するたびに都度計算しておくのが無難です。

自力でやるべきか税理士に任せるべきか

多くの方が「自力でやるものでしょ?」と考えるのではないかと思います。自力でやる場合でも集中すれば3日くらいで片付けることができると思います。

一例ですが知人がお願いしている税理士の費用は 12万円 だそうです。高いですよね。時給5000円の税理士報酬は妥当とも言えますが。

しかし確定申告にも白色申告と青色申告とがあります。ここを訪問される皆さまは積極的な資産運用を考えているはずで、青色申告を検討しているかと思いますので税理士にマルッとお願いすることも検討すべき事項になってきます。

私の場合不動産や日本株、ローン減税やふるさと納税なども積極的に取り組んでいるものの、会計ソフトを使っての確定申告していますので、自力でやっていると言えます。しかし毎年のソフトウェア費用が5万円ほどしますし、PCなどのコストも考えると税理士にお願いすることも検討して良い時期になっています。

ただお金への関心が増すと、税務手続きも自力でやりたいと考えるもので・・・個人のお金に対するスタンスによるものだと思います。

確定申告しなかった場合のペナルティ

正直考えたくないですが、税務調査が入った場合は無申告加算税(年率15%〜20%)をかけた納税が必要になります。100万円の申告納税を無申告のまま放置していたとして、1年後にガサ入れが入った場合は117.5万円の納税を求められるという、消費者金融もびっくりな利息ですので、忘れずに確定申告は行いましょう。

 

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